三井財閥企業の役員を父に持つ令嬢として育ち、美術学校で出会った韓国の画家イ・ジュンソプと結婚した山本芳子さんの70年間にわたる夫への愛情を描いたドキュメンタリー。第2次世界大戦最中の1941年、日本の美術学校で出会った留学生イ・ジュンソプと恋に落ちた方子さんは、日本本土への空襲も激化した45年、命がけで朝鮮半島へと渡り、故郷に戻っていたジュンソプと結婚。しかし、幸せな生活もつかの間、今度は朝鮮戦争の戦火に追われ、再び離れ離れに。200通以上交わされた手紙で愛を育んでいった。現在は残された作品がニューヨーク近代美術館にも収蔵される韓国の国民的画家となったジュンソプも、生前は貧しく、日本にいる妻に会いたいと願いながらも、56年に39歳で他界した。2013年、車椅子でソウルや済州島などを旅した方子さんの姿を追い、関係者の証言なども交え、歴史に引き裂かれながらも貫かれた2人の愛情から、揺れる日韓関係を見つめ直していく。監督は、日本と台湾の関係を描き出したドキュメンタリー「台湾アイデンティティー」「台湾人生」の酒井充子。